コンプレックスを克服するために

能力のコンプレックス

  • 人として社会生活を営む以上、なにかの仕事をしなければいきません。仕事というものは自己の能力を活かして社会に貢献し、糧を得ることです。

    糧を得るということは社会人として自立するためには必要不可欠なことです。自分で稼ぎ、自立した生活を送るということは人としての試練でもあります。人生の最大の岐路といってもいい「就職」は、まさに自分の能力をさまざまな角度から判断されることと等しいのです。

    実際に社会で役に立つかどうかは別として、「学生」として学んできたことのすべてが就職で問われるといっても過言ではありません。それまでなにを学んできたか、それまでどのようなことを学んできたか、なにを考えるようになって、どのようなビジョンを抱いているのか。そのようなことが就職では問われるのです。ここで挫折してしまうと、働くということをはじめることが出来ないかもしれません。ですが、誰もが納得する仕事に就けるわけでもありません。ただ働きたいと思っても、「こういう仕事がしたい」と思っても、そのとおりになるような人は限られているのです。

    そのようなとき、自分の思い通りの仕事ができないとき、さらには仕事すら見つからないとき、人は「自分の能力」を呪うことになります。「なにかが足りないから、思い通りにいかない」というわけです。その「なにか」がなんなのかがわかっていれば、習得するなどして自分を成長させればいいのですが、そのような時間もない、間に合わない、自分にはできるわけがないと、そのまま「諦め」てしまうことになります。

    そのような際に頭によぎるのは、自分が育ってきた環境が悪いと、自分の生まれ育った環境、自分を取り巻く人々を呪うことです。能力はそれまで育ってきた中で養われたものです。それまで育ってきた環境、それまで育ててくれた人、さまざまな要因で今の自分がここにいるのですから、「どうしてこんな風に育ててくれたんだ」と、両親さえ恨んでしまうようなことがあります。

    超えられない壁、埋まらない溝、明らかにチカラが足りない自分、そのようなことを考えて、思考がどんどんマイナスに陥ってしまうと、どうしても前向きになれません。自分は「ここまで」の人間だというわけです。そのような思考に陥ってしまうことこそが、自分の成長を止めてしまう最大の要因です。社会に出るためには、そして出た後も、「成長する」ということは絶対に必要なのですが、そのようなことは「前向き」でなければ叶わないことなのです。前向きにならなければいけないときに、実際にそのような行動、自分を鍛錬する行動を起こす際に必要なことは「モチベーション」です。

    コンプレックスを抱いてしまうと、この行動の源になるモチベーションが一向に湧いてこないのです。そのような状態がさらに自分に「ダメだ」という意識を起こさせるのです。この負のスパイラルから抜け出さない限り、能力に関するコンプレックスはずっとついて回るでしょう。